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減塩コラム

各先生に減塩に関するコラムを
執筆していただいています

塩分を「減らす」 その①

“Manger est une nécessité, mais manger intelligemment est un art.”

François de la Rochefoucauld

「食べることは必要不可欠なことだが、賢く食べることは1つの技術である。」
ラ・ロシュフコー公爵フランソワ6世(フランスの貴族、文学者)

前回のコラムでは健康管理に重要な減塩を実践するにあたって、塩分を「測定する」ことの重要性についてお話ししました。皆さんが1日に摂取している塩分が何グラムくらいなのか、おおまかなイメージを掴めたでしょうか。特に、調味料に含まれる塩分量を把握することが大切でしたね。今回のコラムでは、自分の塩分摂取量の現状に合わせて、具体的に塩分を「減らす」ポイントを3回に分けてお話しします。

今回の1回目は「食べる時の工夫」についてです。食事の時に、1日6グラム(1食2グラム)を目安に塩分を減らすための工夫には、以下の4つがあります。


  1. 汁を残す
  2. 加工食品を減らす
  3. 調味料は「かける」のではなく「つける」
  4. 外食の回数を減らす

  1. 汁を残す
  2. 汁物の代表と言えば味噌汁ですが、およそ1杯で塩分2グラム含まれています。全部飲むとそれだけで1食分の塩分量になってしまいます。だからといって、むやみに薄味にしすぎると美味しくありませんよね。味付けを薄くするよりも、量を少なくした方が、しっかりとした味を楽しめて同時に減塩できます。大切なのは塩味が濃いか薄いかではなく、最終的にどれくらいの塩分を摂取したかですのでお間違えの無いように。汁の量を少なくするのに、具沢山にするのも効果的です。また、ラーメンやうどんといった麺類の汁には塩分が多く含まれますので、麺類の汁は残すのが原則です。

    • 実践例1「味噌汁1杯」 塩分2グラム → 汁を半量にすれば1グラム減塩
    • 実践例2「ラーメン1杯」 塩分8グラム(麺2グラム+スープ6グラム)
      → スープを残せば6グラム減塩(1食2グラムまで減塩できます!)

    味噌汁


  3. 加工食品を減らす
  4. 梅干しや漬物だけでなく、ハムやチーズ、練り製品などの加工食品には、かなりの塩分が含まれています。塩には食品の腐敗を防ぐ作用があり、保存のために塩を活用してきた食文化の歴史がありますが、加工食品がいつでも手に入る現代においては、塩分を過剰に摂取しないように賢く利用する必要があります。食材として加工食品を全く使用しないのは現実的ではありませんので、使用量を少なくするように工夫しましょう。

    • 実践例1「梅干し」 中粒 約7グラム(塩分1.2グラム)
      → 小粒 2グラム(塩分0.4グラム)にすれば0.8グラム減塩
    • 実践例2「ロースハム」 薄切り1枚(厚さ2ミリ15グラム/塩分0.4グラム)
      → 超薄切り(厚さ1ミリ8グラム/塩分0.2グラム)にすれば0.2グラム減塩
    梅干し


  5. 調味料は「かける」のではなく「つける」
  6. 前回のコラムでお話したように減塩のカギは調味料です。調味料をおかずに直接「かけて」食べるよりも、小皿にとって「つけて」食べた方が、調味料は少量で済むため減塩につながります。そして食べる時のポイントとしては、少量の調味料をおかずにつけて、その調味料が舌に触れるようにおかずを口に運ぶことです。少量でも舌で効果的に塩味を感じることができれば、それほど多くの調味料がなくても美味しく食べられます。一方で調味料をたっぷり使っても舌で感じることなく飲み込むように食べてしまえば、塩味を楽しむことができないばかりか余分に塩分を摂ってしまいます。ちょっとした工夫で美味しい減塩を目指しましょう。

    • 実践例1「トンカツにソースを」
      → たっぷりかける(大さじ1杯 塩分1グラム)
      → 少なめにかける(大さじ1/2 塩分0.5グラム)
      → 小皿にとってつける(小さじ1杯 塩分0.3グラム) 0.7グラム減塩
    • 実践例2「すし(まぐろの握り)1貫にしょうゆを」
      → (すし飯側に)多めにつける(しょうゆ1.2グラム 塩分0.18グラム)
      → (ネタ側に)多めにつける(しょうゆ0.3グラム 塩分0.05グラム)
      → (ネタ側に)少なめにつける(しょうゆ0.12グラム 塩分0.02グラム)
      1貫あたり0.16グラム減塩(10貫 食べるとすると計1.6グラム減塩)
    醤油


  7. 外食の回数を減らす
  8. 外食は便利ですが、外食は総じて高塩分ですので、できるだけ控えた方が無難です。たまに外食を楽しむ時は、上記に述べた①②③を積極的に活用しましょう。特に定食の汁物や付け合わせの漬物は、全部食べずに残すことも考慮した方が良いでしょう。外食の代わりに中食(自宅以外で調理された料理を家に持ち帰って食べること)にすると、パッケージの成分表示で塩分量を確認できることが多く、また料理や食材によっては必要な分を分割して(残りを冷蔵庫などで保存して)食べることができるので、外食よりも調整がしやすいですね。

    • 実践例 以下の「つけ合わせ」を食べなければ、その分減塩
      1 カレーの「福神漬」 小皿1盛15グラム 塩分0.8グラム 2 焼肉の「キムチ(白菜)」 小皿1盛15グラム 塩分0.7グラム 3 寿司の「甘酢しょうが(ガリ)」 小皿1盛15グラム 塩分0.5グラム
    食事

以上いかがでしたか。自分の食生活でできることがあれば是非試してみて下さいね。無理せずできることから始めることが大切です。次回は「料理をする時の工夫」についてお話しします。「食べる時の工夫」は塩分そのものを減らす「引き算」の考え方ですが、次回の「料理をする時の工夫」では「足し算」の発想が重要となります。お楽しみに。