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塩分を「測定」する その②
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減塩コラム

各先生に減塩に関するコラムを
執筆していただいています

塩分を「測定」する その②

先週は、減塩における塩分測定の重要性について述べました。今週は、食事の塩分量の測定について、初心者向けに減塩のしやすさ(実現可能性)の点から、具体的にお話しします。基本的な考え方は2つです。


  ① 自分の塩分摂取量を概ね把握する(最初から厳密でなくてよい)


  ② できるところから減塩する(最初から1日6グラムを目指さなくてよい)


1日6グラムの塩分制限は実はそれほど簡単ではありません。そして、むやみに塩分を減らして味気のない食事にしても長続きしません。一方で、1日3食として1年で約1000食以上ありますので、塩分が多いことを自覚して1食1グラム減らせば、年間1000グラム(1キログラム!)も減らすことができます。


まず、自分の食事の塩分量を大雑把にイメージしてみましょう。参考に、外食メニューと加工食品に含まれる塩分量を見てみます(図1, 図2)(1)。目標は1日6グラム(1食2グラム)ですが、日本人の平均摂取量は約10グラム(1食3グラム以上)です。皆さんの塩分量はいかがでしょうか。大切なことは、塩分を過剰に摂取していることに気付くことです。


図1.外食メニューに含まれる塩分量(※味付けや分量により塩分量は異なります)
(日本腎臓学会「慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル」より引用)

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図2.加工食品に含まれる塩分量

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次に、簡単な塩分測定の方法をお教えします。ポイントは「調味料だけ計測する」ことです。一見矛盾するようですが、最初は「食事全ての塩分量を測定しない」ことが重要です。そのカラクリをお教えしましょう。


毎年行われている国民健康・栄養調査の結果から「食事に含まれる塩分の約2/3は調味料に由来している」ことが分かっています(図3)(2)。


図3.塩分の摂取源と調味料に含まれる塩分の内訳

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これから考えると、1食の調味料に含まれる塩分が1.3グラム(2グラムの2/3)以上であれば、(平均的には)目標値を超えていることがわかります。日本人の1日塩分摂取量は平均10グラム(※1日エネルギー摂取:平均1900キロカロリー 1日タンパク摂取:平均70グラム)ですので、1食の塩分は約3.3グラムです。その内訳は、2/3の2.2グラムが調味料の塩分、1/3の1.1グラムが調味料以外の塩分となります。 この場合であれば、調味料の塩分を1食0.9グラムにできると、カロリーやタンパクを減らすことなく、(平均的には)目標の1食2グラム(1日6グラム)まで抑えることができるはずです!(図4) 「調味料を制する者は塩分を制する」ですね。


図4.調味料の塩分を減らす

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調味料の塩分だけなら、何とか測れるように思いませんか。そこで調味料の測定に必要なアイテムを1つ。

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図5.計量スプーン


そう、計量スプーンです(図5)。最近は100均ショップで簡単に手に入ります。それでは計量スプーンを使って小さじ1杯(5 cc)の調味料に含まれる食塩量を見てみましょう。(図6)


図6.調味料 小さじ1杯(5 cc)に含まれる食塩量
(日本腎臓学会「慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル」より引用)

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一見すると種類が多いですが、使用する調味料は個人によって概ね決まっていますので、よく使用するものは覚えてしまいましょう。これを見ると「食塩」「和風だしの素」「うまみ調味料」「コンソメ」の計量は、5 ccの計量スプーンでは量が多いので、1 ccの小さいスプーンを使用した方が便利ですね。


ちなみに「食塩」の計測には計量スプーンでなく「指ばかり」も使えます。親指・人差し指の2本で軽くひとつまみすると、約0.5グラムとなります(ただし個人差があります)(3)。


また「しょうゆ」の1滴は約0.3ccです(ただし容器によってバラツキはあります)。濃口しょうゆであれば1滴の塩分量は約0.06グラム、5滴で約0.3グラムとなりますので、食卓で計量スプーンの代用となります(4)。


上記の測定はわかりやすく概算したものですので、一度は(できれば定期的に)塩分摂取量を正確に評価しておくと、効果的にフィードバックできます。塩分摂取量を正確に測定する方法には、医療機関での尿検査や管理栄養士による食事摂取調査がありますので、かかりつけ医や管理栄養士に相談してみましょう。


いかがだったでしょうか。最初は調味料の測定だけでも抵抗があるかもしれませんが、大切なのは少しでも目標に向けて塩分摂取を減らすことです。前回のコラムで味覚障害が減塩を妨げる要因となることを述べましたが、興味深いことに、塩分の味覚障害は減塩で改善する可能性があります(5)。薄い味付けに慣れると舌が鋭敏になる感覚は、皆さんにも経験がありませんか。減塩によって少しでも味覚が改善すれば、さらに減塩がしやすくなりますね。


皆さん是非トライしてみましょう!


     文献・出典

  1. 日本腎臓学会「医師・コメディカルのための 慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル」.東京医学社.2015.
  2. 厚生労働省「国民健康・栄養調査」
    https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html
  3. 女子栄養大学出版部編「塩分を減らす食べ方がひと目でわかる減塩のコツ早わかり」.女子栄養大学出版部.2015.
  4. 川村哲也,湯浅愛 監修「完全図解 腎臓病のすべて」.主婦の友社.2019.
  5. Kusaba T, et al. Sodimu restriction improves the gustatory threshold for salty taste in patients with chronic kidney disease. Kidney Int. 2009;76:638-43.