山梨県
健康寿命の延伸へ
やまなししぼルトメニュー
健康格差縮小に向けて
山梨県の食塩摂取量の平均値は平成26年度県民栄養調査の結果では、全国と比較しても高い状態であった。目標量以上摂取している方の割合は、男性で約8割、女性で約7割であった。また、野菜摂取量は60歳以上では多い傾向だが、30~40歳代は少ないことが分かった。生活習慣病の発症・重症化予防の為「食塩摂取量の減少」「野菜摂取量の維持・増加」が必要であると考え、平成28年度から「やまなし しぼルトメニュー」販売整備事業を実施している。
販売整備事業
県内全域での取り組み企画 健康に配慮した食事選択ができる環境づくり
しぼルトとは、食塩摂取量が全国平均に比べて高い山梨県民の食塩摂取量の減少を推進する為に生まれたキャラクターの名称である。「しぼルト」の由来は「しぼる」+「ソルト(塩)」の掛け合わせで減塩を、ぎゅっとウエストを絞ることで「適正体重の維持」をイメージしている。
しぼルトメニューとは、下記にまとめた5つの県の基準を満たし県が認定したメニューのこと。
- 主食・主菜・副菜がそろっていること
- エネルギー500kcal以上700kcal未満の範囲であること
- 野菜(きのこ、海藻類を含む)量が120g以上であること
- 食塩相当量3.0g未満であること
- 栄養成分(エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量またはナトリウム)が表示されていること
健康に配慮した食事選択ができる環境づくりを推進する為、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、飲食店や事業所と連携し、メニュー作りを進めている。県の認定を受けると、このしぼルトのロゴマークを使用することができる。
しぼルトメニュー例集を作成し、より理解を深める
令和元年度には取り組みの拡大を目指し、「やまなししぼルトメニュー例集」を作成。より多くの事業者の方に趣旨を理解してもらう為、メニュー例や、実際に取り組んでいる飲食店の方のインタビューを掲載している。
ある飲食店様では、健康を気遣う人も安心して外食が出来るようにと考え、しぼルトメニューを提供している。酸味や辛味を効かせるなど少しの工夫で減塩に繋がるので、お客様だけではなく飲食店も意識が高まっている。
働く世代に向けた新しい取り組み
従業員の健康づくりの推進を図ることを目的とした事業の一つに「やまなし健康経営優良企業認定制度」を設けている。「やまなし健康経営優良企業認定制度」は、健康維持・増進に向けた環境整備など、従業員の健康づくりを経営的な視点でとらえ、戦略的に取り組む事業所を『やまなし健康経営優良企業』として認定している。令和2年度からは「やまなし健康経営優良企業認定制度」の認定要件の一つに、従業員食堂に「やまなししぼルトメニュー」の基準を踏まえた定食の提供をしているかという項目を追加した。他事業とも連携をした取り組みをすることで、働く世代に向けた対策を推進をしている。
事業がスタートした当初はコンビニエンスストアやスーパーマーケットでのお弁当や、飲食店の取り組みであったが、現在は社員食堂のしぼルトメニュー登録も増えている。生活習慣病を発症する前の、働く世代への適切なアプローチになっている。
自然と健康へ
しぼルトメニューの認定基準は、たんぱく質や脂質、炭水化物といった栄養素の摂取量及び、バランスを維持していること、食物繊維とカリウムの摂取量を増やし、ナトリウムの摂取量を減らすことが当面の県民の課題であると踏まえ設定している。お弁当や飲食店、事業所などのしぼルト化が進むことで、食塩やエネルギー制限が必要な方は安心して外食・中食をすることができる。また健康な方は気付かないうちに減塩し野菜も多く摂取することができる。「しぼルトメニュー=おいしい」が定着し、健康的な食事を摂る機会が増加することで生活習慣病をはじめとする、疾病の発症、重症化の予防となり健康寿命の延伸につながると考えている。
広大な自然に恵まれた山梨県では、“天然の水がめ”と呼ばれるほど豊富な水に恵まれておりミネラルウォーターは日本一の生産量を誇ります。美味しい水で育まれた果物はどれも格別ですね。そんな山梨県の健康寿命は、男女ともトップクラスです。どのような工夫をされていらっしゃるのか、山梨県福祉保健部健康増進課の管理栄養士 土橋智子さんにお話を伺いました。