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めるとが行く塩の旅

都道府県別の塩分摂取量を
掲載しています!

食を通じた生活習慣病予防事業

新潟県のほぼ中心に位置する、緑豊かで自然に恵まれたまち三条市。金属製品製造業が盛んで、全国的には「ものづくりのまち三条」として有名ですね。そんな三条市では他の自治体とは少し異なる減塩事業を行っています。新潟県三条市 福祉保健部 健康づくり課 食育推進室 管理栄養士 小栁(おやなぎ)麻子さんに取材をしました。

健康課題
循環器系の医療費が高額

全国における死因順位の第4位が脳血管疾患によるものだが、人口10万対死亡率で三条市の脳血管疾患の値をみると、国と比較してかなり高く、県よりもやや高い状況となっている。標準化死亡比(SMR)を見ても男女共に脳血管疾患が高水準となっている。
国民健康保険被保険者一人当たり医療費は、悪性新生物に次いで循環器系の疾患(高血圧や脳梗塞、脳内出血など)で高額となっており、後期高齢者医療被保険者一人当たり医療費も、1位は循環器系の疾患となっている。
高血圧症には、塩分の過剰摂取が関連しているが、平成27年度に実施した塩分の摂取状況調査では、1日の平均塩分摂取量は、男性が13.4g、女性が12.3gと男女とも目標量を上回っていた。

取り組み内容
知らないうちに健康に!?

食を通じた生活習慣病予防事業

平成29年度から実施し、市民の減塩に関する意識に着目していることが特徴。減塩に対するヘルスリテラシー(※)が低くても自然と健康になる行動をとってしまう「環境整備」と、ヘルスリテラシーの向上を図るための「意識啓発」の2本立てで事業を展開する。

※ヘルスリテラシーとは、情報に基づいた意思決定により「健康を決める力」のこと。

こっそり減塩作戦

市内スーパーの惣菜担当者、新潟県栄養士会三条支部、市の管理栄養士が連携し、惣菜の一部に天然だしを使用する、素材の味をいかす、調味料の量を調整するなど、おいしさを維持したまま減塩を行い、「減塩」とは知らせずに販売する。これにより減塩への意識が低い方でも自然に減塩の商品を購入する環境を整備する。
一方で、意識の高い方が減塩商品を選ぶための目印として、意識の低い方が見ても、減塩をイメージしないロゴマークを作成し、減塩商品の周知を行う。

惣菜売り場1
惣菜売り場2

減塩の惣菜を置いていることがわからないスーパーの売り場

ロゴマーク
ロゴマーク

地産地消推進店における健康な食事(スマートミール)の提供

市内の地産地消推進店において、バランスのよい健康な食事を提供するために「健康な食事・食環境」認証制度(※)を活用し、認証登録を進めるために必要な書類作成や基準に合った食事提供のための支援を市で行う。店舗が認証登録された際には、市の広報誌やホームページ等で市民に積極的に周知するとともに、ステッカーを使って認証マークの掲示を行う。また、認証店周知のためのパンフレットを作成し、健診や保健事業等を通じて周知を行う。

※「健康な食事・食環境」認証制度とは、特定非営利活動法人日本栄養改善学会と日本給食経営管理学会が中心になり、栄養バランスのとれた食事がとりやすい食環境整備の推進を目的とした事業。1食あたりの塩分量は3.5g未満、副菜(野菜、きのこ、海藻、いも)は140g以上に設定する等、栄養バランスが考えられた食事をスマートミールとする。

認証店周知のためのパンフレット1
認証店周知のためのパンフレット2

認証店周知のためのパンフレット

パンフレットを活用した減塩啓発

健診や保健事業、イベント等の機会を利用し、高塩分につながる食習慣チェックができ、減塩のコツがわかるパンフレットやフードモデルを用いて普及啓発活動を行う。

減塩普及啓発用パンフレット1 減塩普及啓発用パンフレット2
減塩普及啓発用パンフレット

コロナ禍での工夫

中食の需要の高まりに注目

家で食べる中食の需要が高まり、外食でも持ち帰り弁当が増えてきていることから、減塩惣菜だけでなくスマートミールの普及啓発に力を入れている。

期待される効果
減塩に興味のない市民も健康に

市民の減塩に対するヘルスリテラシーの向上を図るための「意識啓発」と、ヘルスリテラシーが低くても、自然と健康になる行動をとってしまう(意識しなくても自然と減塩できる)「環境整備」の2本立てで実施することで、減塩に興味のない人も取り込むことができ、市民全体へのアプローチが可能になる。次に実施する塩分の摂取状況調査の結果が、前回より下回ることを期待している。