福島県白河市
減塩メニュー・食品を用いた
高血圧の予防プロジェクト
福島県民の1日食塩摂取量の平均は、男性11.9g、女性9.9g(平成28年国民健康栄養調査)と男女とも国の目標量を上回っている。特定健診受診者のうち高血圧の有所見者率が約5割を占めており、国、県と比較しても高い状況にある。また、生活習慣病の患者数が最も多いのは高血圧症であり、次いで脂質異常症、糖尿病の順となっている。高血圧は、脳血管疾患や虚血性心疾患など、あらゆる循環器疾患の危険因子である。
このことから、高血圧の発症予防、重症化予防、健康寿命の延伸のための減塩対策を推進している。
高血圧発症及び重症化予防
健診結果説明会時における医師の講話と尿中塩分摂取量の測定
対象者:
特定健康診査の結果で血圧Ⅰ度以上(140/90mmHg)の未治療者の方、Ⅱ度以上(160/100mmHg)の高血圧治療中の方
平成28年度から尿中塩分摂取量の測定を実施。平成28年度の初年度は、市の尿中塩分摂取量は男性平均9.6g、女性平均9.4gと県の平均(平成28年国民健康・栄養調査より男性11.9g全国ワースト1位、女性9.9g全国ワースト2位)よりは下回っていた。その後、測定を継続しているが、市の塩分摂取量の平均は男女ともあまり変動はみられていない。
幼少期・学童期の塩分摂取量の実態・減塩習慣の早期介入
3歳児健診時における親子の尿中塩分摂取量の測定
6年生の尿中塩分摂取量の測定
へる塩チャレンジ相談会の開催
尿中塩分摂取量の再測定、食事記録表による個別相談、家庭で飲んでいる味噌汁の塩分濃度の測定
対象者:
健診結果説明会時に尿中塩分摂取量が10.0g以上だった方、3歳児健診時に尿中塩分摂取量が10.0g以上だったお母さん
普及啓発活動
へる塩健康応援店の募集と普及
“塩分3.0g以下の減塩メニューを提供しているお店”“減塩食品を販売しているお店”を「へる塩健康応援店」として認定。
平成28年度の初年度は、高血圧予防対策として、減塩メニューを提供できる飲食店を「へる塩健康応援店」として認定。広報、ホームページ、集団検診会場等で啓発チラシを配布し、減塩の普及啓発を図り、現在4店舗が認定。
登録していただいたお店にステッカーを交付し、減塩メニューや減塩商品を広く市民の皆さんにお知らせ。今後も、健康づくりを応援する飲食店を増やすため市ホームページで募集中。
認定基準(減塩メニューの提供)
- 主食・主菜・副菜の揃った定食メニュー、または主食単品メニューで食塩量が3グラム以下のメニューを提供できるお店
- 登録の減塩メニューにエネルギーや食塩相当量などの栄養成分が表示できるお店
しかし、新型コロナウイルスの感染症の影響で、外食を控え、家庭での食事が増えている状況を踏まえ、令和2年6月から減塩食品を販売しているお店も認定条件に追加。減塩しょう油、減塩みそなどの調味料、ハム、ウインナーなどの加工肉、さばの水煮缶、たらこ、ゆでうどんやそばなど、色々な減塩食品が販売されている。市内のヨークベニマル、リオンドール、ツルハドラッグ、ベイシア、コンビニエンスストアなど33店舗認定(令和3年1月8日現在)、地域の減塩対策の推進を図っている。
普段使っている食品や調味料を減塩に置き換え、家族みんなで減塩に取り組むことで生活習慣病を予防していく。
認定基準(減塩商品の販売)
- 減塩商品を販売しているお店(栄養補助食品を除く)
今後も地域全体で「へる塩プロジェクト事業」における減塩対策を行う。
コロナ禍での工夫
高血圧、減塩に関する情報を市のホームページ、広報、保健センターだより等に掲載する。また、健診結果通知書等に啓発チラシを同封、学校を通じて子どもから保護者へ広く情報を発信していきたい。
医療機関や学校、飲食店等と連携しながら、子どもから大人まで幅広い世代への減塩啓発に努めたい。減塩習慣を早期介入することで高血圧の発症、重症化を予防する。
白河市は福島県の中南部に位置する市です。白河の関は、国の史跡として指定を受けています。伝統工芸分野では、白河だるまが江戸時代から伝えられている特産品で、例年2月には白河だるま市が開催されています。そんな白河市では外食と家庭での食事両面から減塩の取り組みをされています。白河市役所 保健福祉部 健康増進課 管理栄養士 高橋香美さんに取材しました。