ロード中
Loading...
妊娠中の女性にとって最適な食事(第2回)| カリフォルニア大学ロサンゼルス校 医学部 津川友介先生
ロード中
Loading...

減塩コラム

各先生に減塩に関するコラムを
執筆していただいています

妊娠中の女性にとって最適な食事(第2回)

女性が妊娠すると最適な食事は変わってきます。胎児の体の組織(器官)が作られる大事な時期であるため、そのために十分な栄養を摂取しておく必要があるからです。 つまり、お母さんの健康と胎児の健康の両方を考えなくてはならなくなります。

ここでは特に健康上の問題の無い妊婦を想定しています。もし何か病気を持っていたり、妊娠に関連する併存疾患がある場合(妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病など)は、 かかりつけの産科の先生と食事に関してしっかりと相談してください。

妊婦

前回の記事では葉酸の重要性に関してご説明しました。今回は妊娠中の女性が注意するべきビタミンとカフェインに関してお伝えしたいと思います。

ビタミンD

おそらく葉酸の次に重要な栄養素にビタミンDがあります。 2018年に報告された24個のランダム化比較試験をまとめた研究によると、ビタミンDのサプリメント摂取によって、胎児の発育不全のリスクが28%減少したと報告されています。 (1) 妊娠用のサプリメントを摂取している人は、ビタミンDも含まれていることを確認してください。

摂りすぎると危険なビタミンA

ビタミンDとは逆に、取り過ぎることで胎児を危険にさらしてしまう栄養素があり、その中でも代表的なものがビタミンAです。 サプリメントなどでビタミンAを摂りすぎると、胎児の先天異常のリスクが上がると報告されています。 ビタミンAはサプリメントだけでなく、うなぎやレバーなどに多く含まれています。 前述のようにレバーは葉酸を含むという点では良いのですが、ビタミンAの過剰摂取になってしまう可能性もありますので、 葉酸はレバーを大量に食べることではなくできればサプリメントで摂取した方がよいでしょう。

妊娠中はカフェインは控える

コーヒー

カフェインには血管を収縮させる作用があるので、妊娠中に大量に摂取することで流産や胎児の発育に悪影響を与える可能性が示唆されています。 どれくらいの量までなら大丈夫なのかという正確なエビデンスはないのですが、米国産婦人科学会(ACOG)は妊娠中はカフェインの摂取量を1日200㎎未満にするように控えるように推奨しています。 コーヒー100mLにはカフェインが60㎎含まれているので、1杯150mLとすると、妊娠中はコーヒーは1日2杯までに控えた方がよいでしょう。

コーヒー以外にもカフェインを多く含む飲料があるので注意が必要です。例えば、玉露100mLあたり160㎎と、実にコーヒーの2.5倍以上のカフェインが含まれています。 その他にも、紅茶、ウーロン茶、煎茶、ほうじ茶、エナジードリンクにも多くのカフェインが含まれるので、妊娠中は控えた方がよいでしょう。 またカフェインの量は多くないものの、ジャスミンティーには子宮収縮作用がある可能性があるので避けた方がよいとされています。 逆に麦茶はカフェインが含まれていないので、妊娠中にお茶を飲みたい人には、麦茶をおすすめします。

参考文献

※1

Bi WG, Nuyt AM, Weiler H, Leduc L, Santamaria C, Wei SQ. Association Between Vitamin D Supplementation During Pregnancy and Offspring Growth, Morbidity, and Mortality: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Pediatr. 2018;172(7):635-45.