「超加工食品」は本当に健康に悪いのか？
（第１回）

今回から３回に分けて、日本のみならず世界で注目されている「超加工食品」が健康にどのような影響を与えるのかに関してご紹介します。

2019年5月16日には、アメリカの国立衛生研究所（NIH）の研究者たちが、超加工食品を摂取することで総カロリー摂取量が多くなる（ついつい食べ過ぎてしまう）という論文を発表しました。※1これはNIH長官フランシス・コリンス氏がツイッターで取り上げただけでなく、大手メディアのニューヨークタイムズ紙※2や科学雑誌のサイエンス※3などでも紹介され、大きな話題となりました。

超加工食品に関しては、日本のメディアでも報道され、これをどうとらえるかに関して賛否両論がありますが、ここではこのテーマに関して、何が分かっていて、何が分かっていないのか一つずつ丁寧に説明しましょう。

まず超加工食品とは何を意味するのか説明します。超加工食品に関する論文では、NOVA分類というものを用いて超加工食品を定義しています。NOVA分類とは、２００９年ブラジルのサンパウロ大学の研究者たちが提唱した分類方法※4で、食品を表１のように分類しています。超加工食品とは、このNOVA分類のグループ４に分類される食品のことになります。

今まで食品は栄養素などによって分類されることが多かったことが知られています。しかしNOVA分類はそうではなく、食品の加工度合いによって分類する新しい分類法です。この分類法が恣意的であるという指摘、同じパンでも工場で作られたものとパン屋で作られたものは違うというのはおかしいなどという批判はあるものの、近年、私達の食卓に占める超加工食品の割合が増えていることを考えると、重要な研究テーマであることは間違いありません。

複数の国（ヨーロッパ、アメリカ、カナダ、ニュージーランド、チリ）で行われた調査の結果、現代人は総摂取カロリーの25～50％をこれら超加工食品から摂取していると推定されています。※6-12日本人の50～60％は定期的に加工食品を摂取しているという報告もあり、超加工食品は日本人にとっても身近な問題であると言えます。さらにはブラジルの食事ガイドラインでは、超加工食品の摂取を控えるように推奨しており、※13ここ最近世界中で注目を集めている重要なテーマの一つです。

出典：（出典：NHK「食生活に関する世論調査」2016年）

次回は、超加工食品が健康にどのような影響を与えるのか評価した研究をご紹介します。