ハーバード大学の研究者たちが推奨する
「健康的な食事」とは?
今回は塩から少し離れて、健康的な食事とは何かに関してご説明したいと思います。食事に関する推奨は複数あるものの、残念ながらそれらすべてが最新の研究結果に基づいて科学的に決められているわけではありません。その中で筆者がおすすめするのは、ハーバード大学の「健康的な食事プレート」です。ハーバード大学で食事や栄養の研究をしている第一人者たちの英知を集結して作られたものであり、今分かっている科学的根拠に最も順じたものになっていると思います。
実はこのハーバード大学の健康的な食事プレートと、日本の農林水産省が発表している「食事バランスガイド」の内容は違います。違う点はいくつかあるのですが、その中でも最も特徴的なのは、全粒穀物の扱いだと思います。ハーバードの食事プレートでは、玄米や全粒粉などの全粒穀物をしっかりと摂取することが推奨されています。複数の研究によって、全粒穀物の摂取量が多い人ほど、糖尿病や大腸がんの発症リスクが低いことが分かっているからです。
一方で、日本の食事バランスガイドでは主食としてごはん(白米)を1日4杯程度食べることが推奨されています。過去の複数の研究において、白米の摂取量が多い人ほど糖尿病の発症率が高い※1※2と報告されていますので、残念ながらこれは科学的に分かっていることと矛盾しています。
玄米も白米も両方とも「炭水化物」です。精製されて中心部の糖質以外の部分がそぎ落とされているのが白米であり、一方でぬかなどの外皮の部分も残っているのが玄米です。外皮の部分が削除されているのか、それとも残っているのかだけの違いなのですが、それによって健康への影響は真逆になるというのは興味深いことです。
全粒穀物の摂取量が多い人ほど糖尿病や大腸がんのリスクが低いということより、現在日本で流行っている「糖質制限食」は実は健康によい食事ではないということも理解して頂けると思います。糖質制限食は簡単に体重が減るので人気ですが、実は病気になりやすくなったり、死亡率が高くなるということが複数の研究より明らかになっています。糖質を制限するよりも、白米や小麦粉などの精製された炭水化物を、玄米や全粒粉などの精製されていない炭水化物に「置き換える」食事にした方が、(体重も減りますし)健康的ですので、医学的にはこちらの方が推奨されます。
引用