コレステロールと中性脂肪について知ろう
健康診断で、コレステロールや中性脂肪が基準値以上だけど、特に気にしていないという方もいらっしゃるかもしれません。今回は、コレステロールと中性脂肪についてお伝えします。
コレステロールってなに?
コレステロールとは、体に必要な脂質のひとつで、細胞膜やホルモンの材料となっています。 そのため、悪者ではないのです。血液検査にある「LDLコレステロール」や「HDLコレステロール」とは、 リポタンパク質といい、血液中のタンパク質と脂質が結合しているものです。LDLコレステロールは、肝臓のコレステロールを身体の各部に運ぶ役割があります。 一方で、HDLコレステロールは血管の壁に付着しているコレステロールを肝臓に運ぶ役割があります。 LDLコレステロールは高すぎると良くなく、HDLコレステロールは低すぎるのが良くないと考えられています。
LDLコレステロールが高いと言われたら?
LDLコレステロールが高いときには、食事を見直すとともに、ご両親や兄弟・姉妹にLDLコレステロールが高い方がいるかどうか確認しましょう。 と言うのも、家族性高コレステロール血症という疾患があり、若いうちからLDLコレステロールが高いことで、動脈硬化や心筋梗塞のリスクがあがる疾患です。 日本では300人に1人ほどが家族性高コレステロール血症と言われています。 そのため、自分のLDLコレステロール値が高い場合、ご家族のLDLコレステロール値を知っておくことも大切です。 食事では、総エネルギー量を取りすぎていないか確認し、中でも飽和脂肪酸の過剰摂取を控えることを行います。 飽和脂肪酸とは、バターやラード、肉の脂質に多く含まれています。これらを取りすぎることは控えましょう。 LDLコレステロールは食事や生活で改善する場合と、家族性など食事や生活で改善が難しい場合があるので、何年もLDLコレステロールが基準値を超えている場合は、 かかりつけ医に診てもらうと良いでしょう。
HDLコレステロールが低いときは?
HDLコレステロールは高いことよりも低いことが問題視されています。 HDLコレステロールは、血管の壁に付着しているコレステロールを回収して肝臓に戻す働きがあるため、HDLコレステロールが低いことで、 これらの働きが弱くなってしまい、動脈硬化等のリスクになっていくためです。 HDLコレステロールを上げることに期待できることとして、有酸素運動があげられます。1日6,000歩以上を目安にウォーキングをすることをおすすめします。 6,000歩というと、1時間ほどです。1時間継続的に行わなくても、30分を2回と分けて行う形で問題ありません。 また、家事や掃除など、日々の活動を含めて6,000歩なので、運動の時間がとれなくても、日頃から活動量が多い方はOKです。 有酸素運動は、HDLコレステロール上昇だけでなく、肥満の改善にもつながることが期待できます。
中性脂肪ってなに?
中性脂肪とは、英語でトリグリセリド、トリグリセライドとも言われ、血液検査結果では「TG」と表記されることもあります。 中性脂肪はエネルギーの貯蔵として皮下脂肪に多くが蓄えられているだけでなく、血液中にも含まれています。 中性脂肪は食事由来のものだけでなく、肝臓で合成されて作られています。 中性脂肪が高いと、内臓脂肪や皮下脂肪が増えることにつながり、肥満になりやすくなると考えられています。 そのため、メタボリックシンドロームの診断基準にも中性脂肪150mg/dl以上が含まれています。
中性脂肪を下げるには?
中性脂肪は食生活の影響を強く受けます。中性脂肪という名前から、バターや揚げ物など脂肪が多い食品の影響を受けそうですが、 実は、炭水化物、アルコールの影響を強く受けます。 ご飯やパン、麺などで食事を済ませている場合や、砂糖を多く含むお菓子やジュースをよく摂取する方はこれらを見直すことで、中性脂肪の改善が期待できます。 また、過剰飲酒や中性脂肪が高くなるため、適量飲酒(1日あたりビールならロング缶1本、日本酒なら1合ほど)を目指しましょう。
コレステロールと中性脂肪ついて説明しました。 健康診断で基準値より高いという方は、一度、かかりつけ医に相談してみると良いかもしれません。 ぜひ、参考にしてください。
- 厚生労働省 e-ヘルスネット
- 動脈硬化性疾患予防ガイドライン