ロード中
Loading...
減塩コラム:糖尿病について知ろう(後半)| 赤羽もり内科・腎臓内科 森 維久郎先生
ロード中
Loading...

減塩コラム

各先生に減塩に関するコラムを
執筆していただいています

糖尿病について知ろう(後半)

前回のコラム「糖尿病について知ろう(前半)」では、糖尿病とはどんな病気か、血糖値やHbA1cとはなにかを説明しました。後半では、糖尿病の方の食生活について説明します。

食の欧米化が糖尿病につながっている

ファストフード

糖尿病の原因は1つではありませんが、脂質の摂りすぎなどの食の欧米化が1つの原因とされています。内臓脂肪が増えることで血糖値を下げる働きのあるインスリンが効きにくくなり、糖尿病となってしまいます。

総エネルギー量を見直すこと

まず始めに行うことが、エネルギー摂取量を見直すことです。内臓脂肪や皮下脂肪が多い肥満の場合、肥満の改善が大切です。肥満を改善することで、インスリンの分泌が改善される、インスリンが効きやすくなる、ということにつながります。

肥満の原因は、エネルギーの摂りすぎです。人間は生きているだけでエネルギーを消費しており、さらに運動や活動でエネルギーを消費しています。この消費エネルギー分を日々の食事で補うことで、体重を維持しています。しかし、摂取エネルギーが消費エネルギーより多くなると、体重が増えていき肥満につながります。

肥満の改善には、総エネルギー摂取量を見直し、消費エネルギーより摂取エネルギーを少なくすることが大切です。

日々、なんとなく食べている食事も、すべて写真にとってみたり、書き出してみたりすると、意外と食べている・飲んでいるということに気づくかと思います。

ヘルシーな食事

自分に必要な総エネルギー量を知る

今までの自分の食事を見直したら、これから摂るべき総エネルギー量を確認します。糖尿病の方は、以下の式で計算することができます。

総エネルギー量(kcal)=目標体重(身長(m)×身長(m)×22)(kg)×エネルギー係数

エネルギー係数とは、1日の活動量や運動量がだいたいどのくらいかで、以下から判断します。

①軽い労作(大部分を座ってすごしている):25〜30
②普通の労作(座っているのが中心だが、通勤や家事・軽い運動をする):30〜35
③重い労作(力仕事や運動習慣がある):35〜

例えば、165cmの方で、デスクワーク中心だと
1.65×1.65×22×30=1797
と計算でき、約1800kcalとなります。
血糖コントロール状態を良くするには、3食できるだけ等分にした方が良いので、1食あたり600kcalほどと計算できます。

※65歳以上の場合、目標体重が目標体重(身長(m)×身長(m)×22〜25)となります。また、フレイル予防のため、身体活動より大きいエネルギー係数を設定することがあります。

血糖コントロールのためにできること

血糖コントロール状態を改善するために、まずは総エネルギー量を設定することを説明しました。その次に、そのエネルギーを何から摂取するか考えます。

私達は炭水化物・たんぱく質・脂質を代謝してエネルギーにして活動しています。厚生労働省の日本人の食事摂取基準では、炭水化物とたんぱく質と脂質からエネルギーを摂取するときの比率を設定しています。Pはたんぱく質を英語表記したproteinの頭文字、Fは脂質を英語表記したfatの頭文字、Cは炭水化物を英語表記したcarbohydrateの頭文字です。

P(たんぱく質):13〜20%
F(脂質):20〜30%
C(淡水化物):50〜65%

糖尿病の場合も、大きく変更するわけではなく、糖尿病の治療ガイドラインでは、
P(たんぱく質):20%以下
F(脂質):25%以下
C(炭水化物):40〜60%
と設定しています。
炭水化物を全く食べないなど、過度な糖質制限は低血糖等になる危険性もあるので控えた方が良いでしょう。

食物繊維はしっかり、塩分は控えめに

野菜

野菜、きのこ、海藻などに含まれている食物繊維を多く摂取することは血糖コントロールを改善すると言われています。そのため、毎食の中で食物繊維を意識して摂取すると良いでしょう。いつものサラダにカットわかめをプラスしたり、炒めものにきのこをプラスしたり、できることからはじめてみると良いですよ。

一方で、塩分はできるだけ控えるようにしましょう。高血圧や糖尿病性腎症がない場合は、日本人の食事摂取基準通り男性で7.5g未満/日、女性で6.5g/日未満です。高血圧や糖尿病性腎症がある場合は、6g未満/日が目標となります。日本人は塩分摂取量が多い方が多いので、日頃から減塩を意識できると良いですね。

いかがでしたでしょうか?糖尿病のコントロールには、エネルギーコントロールが大切です。主治医や管理栄養士に相談するなどして、まずは自分のエネルギー量を設定することからはじめてみましょう。


参考