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減塩コラム:糖尿病について知ろう(前半)| 赤羽もり内科・腎臓内科 森 維久郎先生
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減塩コラム

各先生に減塩に関するコラムを
執筆していただいています

糖尿病について知ろう(前半)

糖尿病や糖尿病予備群の方は、2016年の段階で日本に約2000万人いると推計されています。1997年は約1400万人であったので、患者数は増加傾向です。 「あなたは糖尿病です」と言われていても、実際にどんな病気かよくわからないという方もいらっしゃるかと思います。
今日は、糖尿病と糖尿病の検査項目について説明します。

糖尿病とは

糖尿病とは、血糖値を下げる働きのあるインスリンというホルモンの働きが低下する、足りなくなることで、血糖値が高くなる病気です。

血糖値とは血管内のブドウ糖の量

血液検査

血糖値とは、血液中に流れるブドウ糖の量を計測した値で、健康な方の場合は、空腹時血糖が80〜110mg/dLほどです。
つまようじ1本分の重さが約100mgなので、計量カップ半分(100ml)の血液の中に、つまようじ1本分程度の重さのブドウ糖が溶けている状態が正常です。

血糖コントロールが難しくなるのが糖尿病

糖尿病の確定診断には、HbA1cという検査結果も確認しますが、血糖値も大切な要素です。
空腹時血糖値が126mg/dL以上、随時血糖値が200mg/dL以上が糖尿病の1つの指標となります。先ほど、つまようじ1本分なら正常と説明しましたが、これが2本になるとたちまち高血糖ということです。
私達の体は、食事をとると炭水化物等が消化されて、血糖値が上昇します。ここで登場するのが血糖値を下げる働きのあるインスリンです。インスリンは血液の中にあるブドウ糖を細胞に取り込んで、血糖値を下げてくれます。インスリンの働きが低いことやインスリンが少ないことで、食後の血糖値を上手に下げられなくなり、血糖値が高い状態が続いてしまうのです。
血糖値が高い状態が続くと、血管内で炎症が引き起こされてしまうことにつながってしまいます。

過去の血糖状態を反映するHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)

糖尿病の状態を示す血液検査項目の1つにHbA1cがあります。ヘモグロビンエーワンシーと読みますので、ぜひ、覚えていただきたいと思います。

HbA1cとは、過去2ヶ月ほどの血糖状態を反映する指標です。単位が%表示で、6.5%という形で表記します。 HbA1cとは、ヘモグロビン(赤血球の中にあるたんぱく質)に糖がくっついているものです。 体中にあるヘモグロビンの量を100%としたときに、何%のヘモグロビンに糖がくっついているかを見ているので%で表示されます。 高血糖状態が続くとHbA1cが高くなるので、過去2ヶ月ほどの血糖コントロール状態の指標とされていて、HbA1c6.5%以上が糖尿病の診断指標の1つになっています。

40歳以上の方なら、会社や自治体で実施している毎年の特定健康診査でHbA1cを測定しているので、この機会に見直してみると良いですよ。

検査結果

糖尿病は自覚症状がほとんど無く進行する

糖尿病の怖さは「自覚症状が無いこと」です。痛くも痒くもないなら良いじゃないかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、 自覚症状が無く進行していき、将来的に合併症と言われる状態になる危険性があります。

糖尿病は血管内のブドウ糖が増えて、血管に対してダメージがある病気です。そのため、細い血管が多い腎臓や目、足先などにダメージが少しずつ加わっていきます。 また、大きな血管がある心臓や脳にも血管障害が起きる危険性もあります。

自分で気づいた頃には、進行しているということもあるので、毎年の血液検査を確認しながら、コントロールしていくのがとても大切です。 血糖値やHbA1cの項目に※印や要観察、要治療と記載がある場合は、すみやかに医療機関に受診すると良いでしょう。

すでに糖尿病でかかりつけ医に通院している方は、通院を継続することがとても大切です。 定期的に通院して血糖状態を医師とともに確認し、合併症を予防していきましょう。


今日は、糖尿病とはどんな病気なのか、検査数値の内容について説明しました。 血糖値やHbA1cの原理がわかっていると、より自分の体のことがわかるようになります。
次回は、糖尿病と言われたときの生活やお食事について説明します。

参考・出典