カリウムについて①
カリウムについて知ろう
野菜や果物、いも類などに豊富に含まれているカリウム。塩分を多くとっていてもカリウムをしっかりとっていたら良いの?などの質問をいただくことがあります。今回は、カリウムについて説明します。
カリウムとは何?
カリウムとは、細胞内液の浸透圧の調整をしたり、筋肉を動かしたり、神経伝達を正常に保ったりする働きがあり、体にとって必要なミネラルの1つです。よく知られている働きとして、ナトリウムを体外に排出するのを促すことがあげられます。 私達は日々摂取している食塩は「塩化ナトリウム」であり、食塩由来の調味料や加工食品からナトリウムを摂っています。塩分をとりすぎている場合、カリウムが含まれている野菜や果物等を積極的に摂取することが推奨されています。
1日にどれくらいのカリウムが必要か
日本人の食事摂取基準では、成人男性で2500mg/日、成人女性で2000mg/日が目安量となっており、高血圧予防のための目標量としては、成人男性で3000mg/日以上、成人女性で2600mg/日以上とされています。
高血圧の場合、カリウムをたくさん摂っていれば、塩分が多くても良い?
結論から言うと、カリウムをたくさん摂取しているからといって、塩分の過剰摂取をして良いわけではありません。 研究では、ナトリウムとカリウムの摂取量を比率にした、ナトリウム/カリウム比を低くすることで降圧効果があることが認められています。ただ、日本人の多くはそもそも食塩を摂取しているため、カリウムを多く摂取することだけでは、なかなかナトリウム/カリウム比を下げることが難しい可能性があります。日本人の食事摂取基準では、ナトリウム/カリウム比の基準はなく、食塩相当量とカリウム、それぞれの基準が設定されています。 そのため、減塩も意識しながらカリウムが多く含まれているような野菜等を摂取することをおすすめします。ただし、腎機能低下がある場合は、主治医に相談するようにしましょう。
腎機能が低下している場合はカリウム制限すべき?
腎機能が低下していると、カリウムの排泄があまりできなくなり、高カリウム血症になる危険性があります。高カリウム血症になると、不整脈等につながるおそれがあります。 だからと言って、どんな方も一律にカリウム制限すべきかと言うと、そんなこともありません。
慢性腎臓病に対する食事療法基準 2014年版では、CKDステージG3aまではカリウムを制限する必要はないとされています。 G3bでは2000mg/日以下、G4〜G5では、1500mg/日以下とされています。ただ、独断で実施するのではなく、腎臓専門医にまずは相談して実施することをおすすめします。 過度なカリウム制限をすることで、野菜等が不足し、鉄やカルシウムが不足するということにもつながるからです。 一方で、野菜ジュースや果物ジュースなどは、カリウムが高い食品のためG3b以下の方は、これらのジュース類は控えると良いでしょう。 最近では、カリウム排泄を促進する薬もあり、血液検査の状態を見ながら、カリウムの摂り方を医師や管理栄養士と相談することもできるので、この機会に腎臓専門医に相談してみてください。
カリウムについて説明しました。高血圧のみの場合と、腎機能低下がある場合で、カリウムについての考え方が異なります。
一度、かかりつけ医の医師に相談してみると良いですよ。
ぜひ、参考にしてください。
- 厚生労働省 日本人の食事摂取基準 2020年版
- 慢性腎臓病に対する食事療法基準 2014年版