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減塩コラム

各先生に減塩に関するコラムを
執筆していただいています

腎機能が低下していると言われたら、どうすれば良いのか

らくだ6.0を読まれている方の中には、腎機能が低下しているとかかりつけ医から言われている、薬は飲んでいないが定期的に血液検査をして様子をみている、という方もいらっしゃるかと思います。今日は、なぜ腎機能が低下するのか、腎機能が低下している場合、どうすれば良いのか、基本的な考え方をお伝えします。

慢性腎臓病とは?

カルテ

慢性腎臓病とは、尿検査や血液検査、病理検査から診断することができます。慢性腎臓病と診断される定義は、以下の1、2のどちらかまたは両方が3ヶ月以上続く状態です。
1:尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか、特に0.15g/gCr以上の蛋白尿(30mg/gCr以上のアルブミン尿)の存在が重要
2:GFR<60ml/分/1.73m2 (※1)
上記は血液検査や尿検査をしないと判断できません。そのため、自分で健康診断の結果を見て「慢性腎臓病」と思い込み、独断でお肉やお魚を抜いたり、生野菜を控えたりするのはやめましょう。健康診断の結果で、腎機能に要検査、要経過観察等の記載がある場合、かかりつけ医や専門医にて、検査してもらうことが第一歩です。

※1:eGFRは血液検査をし、血清クレアチニン値、性別、年齢から算出します。


慢性腎臓病になるとどうなるの?

腎臓について

腎臓の働きはたくさんあるのですが、大きな働きとしては「体内の血液を濾過する」ことです。腎臓は血液を濾過して、老廃物を尿として排出する働きがあります。言わば、「血液のお掃除工場」です。この働きが落ちてきて濾過できなくなると、体内に老廃物がどんどんたまってきます。最終的には人工透析という体の外に血液を出して、特殊な医療機器で濾過し、きれいにした血液を体内に戻す治療が必要になります。(※2)

※2:人工透析には血液透析、腹膜透析という方法があり、人工透析以外にも腎移植という方法もあります。


なぜ腎機能が低下するのか?

人間は加齢とともに身体機能が低下します。子どもの頃や若い頃は軽々とできた運動も、年をとるにつれてしんどく感じることは多くの方に経験としてあると思います。腎臓も加齢とともに機能が低下してきます。ただ、加齢だけでの低下であれば、人工透析などの心配はほとんどありません。しかし、糖尿病、高血圧、動脈硬化などの生活習慣病、喫煙歴や肥満などがあると、加齢の影響に加えてさらに腎機能低下の要因となります。また、これらの病気や生活習慣がなくても、生まれながらに免疫の病気を患っている方もいらっしゃいます。


腎機能をこれ以上、低下させないためには?

腎機能は一度低下すると、劇的に良くなることはあまり期待できません。そのため、これ以上、腎機能を低下させないことが大切です。そのためにできることは、以下の内容となります。

① 生活習慣病のコントロール 高血圧、糖尿病などの生活習慣病の治療をしっかりと行うことが大切です。血圧や血糖を毎日測定しましょう。血圧や血糖はご自身の体のバロメーターの1つです。そして、定期的に通院して、現状を医師に診断してもらいながら、コントロールしていきます。

② 肥満の改善 肥満の改善は運動や食事とも関係があるのですが、あえて別項目に記載しています。なぜなら、肥満を改善することで、腎機能を守るだけでなく、高血圧や糖尿病のコントロールも良好にし、さらに体にとってポジティブになっていくからです。肥満の改善方法については、リバウンドしないように、ゆるやかに痩せるのが良いでしょう。何からはじめれば良いかわからないという方は、栄養指導などを受けて管理栄養士に相談するのも良いと思います。

③ タバコをやめる タバコは百害あって一利なしです。体のためにタバコはやめた方が良いです。腎臓は細い血管の集まりですが、タバコは血管にダメージを与えるので、腎臓にとっては大敵になります。当院でも、患者さんには禁煙するようお伝えしています。多くの病因で禁煙外来を行っているので、お近くの禁煙外来に通院しながら禁煙にトライする方法もあります。

④ 減塩を中心とした食事療法 腎機能が低下している場合、食事を見直す必要があります。食事療法として実施していくことは、減塩、エネルギーコントロール、たんぱく質やカリウム、リンのコントロールがあります。減塩は1日6g以下を目安にします。いつもの食事を薄味にする、醤油の量を減らすなど、今日からできることもたくさんあります。エネルギー、たんぱく質、カリウム、リンについては、病歴や肥満度、血液検査結果を見ながら、医師や管理栄養士と決めていきます。独断で実施するのは控えた方が良いでしょう。

⑤ 適度な運動 近年、慢性腎臓病の患者さんのQOL改善、腎機能維持につながるとされているものに「腎臓リハビリテーション」があります。これは、運動・食事・精神面も含めた包括的なサポートを含むプログラムです。適度な運動は、患者さんのQOL向上、身体機能低下予防等につながると言われています。無理のない範囲で、毎日のウォーキングやストレッチなど、できる範囲で実施すると良いでしょう。


まずは通院して医師に相談し、自分の腎臓について把握する

通院

本日お伝えした内容は基本的な内容で、すべての方に当てはまるわけではありません。健康診断の結果で腎機能に要検査等の表示がある場合は、お近くの医療機関を受診して検査をしてもらうと良いでしょう。食事や運動なども独断で実施せず、医師や管理栄養士と相談しながら実施してください。


参考・出典

エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018(日本腎臓学会)
腎臓リハビリテーションガイドライン(日本腎臓リハビリテーション学会)