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減塩コラム:生活習慣病と食塩の目標量 | 赤羽もり内科・腎臓内科 森 維久郎先生
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減塩コラム

各先生に減塩に関するコラムを
執筆していただいています

生活習慣病と食塩の目標量

減塩を意識しているという方は多くいらっしゃると思います。 しかし、実際にどのくらいの塩分を摂取しているかご自身で測定している方は少ないのではないでしょうか?
今日は、生活習慣病ごとの食塩の目標量についてお伝えします。

高血圧の場合は一律6g未満

高血圧

高血圧治療ガイドライン2019では、食塩摂取量の目標量が一律で6g未満/日となります。 さまざまな研究を集めて解析するメタアナリシスによる研究で、食塩摂取量を6g未満/日することで降圧につながること、また、降圧を介することで脳心血管イベントの発症や死亡の抑制が期待できるとされています。 しかし、減塩だけをしていれば良いというわけではありません。 減塩とともに肥満がある場合の肥満の改善や禁煙など、生活習慣を見直していくことが大切です。

参考
高血圧治療ガイドライン 日本高血圧学会

慢性腎臓病も塩分コントロールが必要

慢性腎臓病の場合、高血圧同様に減塩が大切になります。 ガイドライン上では1日3g以上6g未満/日と設定されます。 これは、腎機能の保護や高血圧、尿タンパク、心血管イベントの予防のためです。 減塩は血圧を下げることにつながり、また、尿タンパクの抑制にもつながっていきます。 尿タンパクは慢性腎臓病を進行させる危険因子であるため、これを抑制することは将来の腎不全を予防していくためにはとても大切です。 しかし、3g未満/日の過度な減塩は低栄養の危険もあり推奨されていないため、すべての調味料を抜くなど極端に減塩すれば良いというものでもありません。

参考
エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン 日本腎臓学会

糖尿病でも塩分は控えめに

糖尿病の場合、減塩よりもエネルギー量の調整が大切になりますので、 1日にする総エネルギー量やPFCバランス(たんぱく質、脂質、炭水化物のエネルギー比率)を主治医や管理栄養士と相談して決めていきます。 ただ、高血圧や腎症を合併している場合は塩分にも十分に気をつけていく必要があります。 このときの目標量は高血圧や慢性腎臓病の食事療法と同様に3g以上6g未満/日です。 これらの疾患がない場合は、厚生労働省の策定している日本人の食事摂取基準(2020年版)と同様に成人男性7.5g未満/日、成人女性6.5g未満/日となりますが、 インスリンが効きにくくなる2型糖尿病の場合、食塩感受性高血圧になりやすくなるため、日頃から減塩を意識すると良いでしょう。

参考
糖尿病診療ガイドライン 日本糖尿病学会
日本人の食事摂取基準(2020年版) 厚生労働省

実は、健康な人も減塩は必要

塩

高血圧、慢性腎臓病、糖尿病の食塩の目標量について紹介しました。 これらの病気がなくても、減塩は多くの方にとって取り組むべきものです。 厚生労働省は日本人の食事摂取基準(2020年版)で食塩の目標量を成人男性7.5g未満/日、成人女性6.5g未満/日としています。 しかし、令和元年度の国民健康・栄養調査の結果、成人男性10.8g/日、成人女性9.1g/日の食塩を摂取しているという結果が得られました。 目標量まで男女ともに現在の食塩摂取量から約25%カットしていく必要があります。25%と聞くと、それくらいならできるかも?と思う方も多いのではないでしょうか。 例えば、濃口醤油や味噌を減塩醤油や減塩味噌にするだけで、それ単体の食塩相当量は約30%カットできます。 また、最後の仕上げに一振りしている塩をやめてみる、下味の塩を少なくしてみるなど、ちょっとした意識で減塩につながります。 ぜひ、日々の調理や食事シーンで、いつもより少しだけ減塩を意識なさってください。