麺類と塩分
高血圧や慢性腎臓病で、減塩に取り組まれている方も多くいらっしゃいます。減塩すると「麺類は食べられないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、食べられないわけではありません。食事は「管理」や「制限」という意識ではなかなか続けることはできません。当院では管理や制限ではなく、できることを提案する栄養指導をしています。今回は、栄養指導でも多く質問のあがる麺類と塩分についてご紹介します。
麺類は麺とスープに分けて考える
多くの方が「麺類は塩分が高い」と認識されています。この認識は正しいのですが、見落としがちなのでが、「麺類は、麺とスープ(つゆ)が合わさった料理であり、塩分が高いのはスープ」いうことです。そのため「麺類は塩分が高いから、もう食べられない」と思わなくて大丈夫。減塩に意識しながら麺類を食べる方法をマスターしていきましょう。
塩分が高いのはスープ
ラーメンやかけそば、かけうどんなどの麺類は、麺よりもスープ(つゆ)に多くの塩分が多く含まれています。そのため、まず第一歩としてスープ(つゆ)をできるだけ摂取しないということが大切になってきます。どれくらいの塩分量が含まれているのかは、スープ(つゆ)の種類により異なります。お家で食べる即席麺であれば、食品表示から食塩相当量を確認する習慣をつけましょう。外食ではなかなか塩分量が推測しにくいので、できるだけスープ(つゆ)を残す習慣をつけること、週に3回食べていたなら週に2回→週に1回→2週間に1回と少しずつ頻度を減らしていくこと、この2つを意識しましょう。
麺の塩分量
スープ(つゆ)の塩分量がわからなくても麺の塩分量を知っておくことで、日々の減塩がしやすくなります。一般的な麺類の食塩相当量は以下のとおりです。
ゆで中華麺 大盛り(約350g):0.7g
ゆでそば 普通盛り(170g):0g
ゆでそば 大盛り(250g):0g
ゆでうどん 普通盛り(225g):0.7g
ゆでうどん 大盛り(340g):1.0g
ゆでスパゲッティ 普通盛り(250g):1.0g
ゆでスパゲッティ 大盛り(375g):1.5g
スパゲッティは1.5%塩分濃度の湯で茹でた場合で、塩を加えずに茹でたら塩分は0gになります。
こうして見ると、スパゲッティ(塩入りで茹でた場合)→うどん→中華麺→そば、塩なしで茹でたスパゲッティの順に塩分量が少なくなります。麺単体で考えると、そばや塩なしで茹でたスパゲッティおすすめということになります。スパゲッティは塩を入れずに茹でれば塩分0gになりますので、お家で茹でるときは塩を入れずに茹でるようにしましょう。
味付けして料理になるとスパゲッティの方が塩分が少なくなる傾向があります。そのため、麺類にはスープ(つゆ)に塩分量が多く入っているというのがわかるかと思います。
外食で麺類を食べるときは何がおすすめ?
料理として考えたとき、塩分を抑えやすいのはスパゲッティになります。ただ、外食でスパゲッティを注文するとスープなどがセットになっていることもあるので、スープを飲むのはできるだけ控えましょう。また、そばも良いでしょう。かけそばであればつゆをできるだけ残す、ざるそばであればつゆに付けるときにドボッと付けず、そば湯は飲まないなど工夫次第で塩分量を抑えつつも麺類を愉しむことができます。
お家で麺類を作るとき
外食での塩分コントロールについて上記でご紹介しましたが、お家で麺類を作るときの塩分コントロールについてご紹介します。
めんつゆを牛乳や豆乳を使って規定量以上に薄める
濃縮タイプのめんつゆを使用するとき、水で規定量以上に薄めると味がぼやけてしまうことも。牛乳や豆乳を使用すると、味がぼんやりすることなくおいしく減塩できます。和風クリーム系の味わいになりおいしくいただけます。また、エネルギー補給やカルシウム補給にもつながります。
香味野菜を活用する
青しそ、みょうが、しょうが、小ねぎなど香味野菜を活用することで、つゆを少なくしてもおいしく召し上がることができます。また、ごま油などを最後に回しかけるなど、油のコクを利用することもおすすめです。
ラーメンはスープを少なくして野菜をたっぷり入れる
即席ラーメンなどを作るとき、スープは少なめにしましょう。また、もやしやカット野菜など包丁やまな板を使用せずに使える野菜をレンジで加熱して即席ラーメンにトッピングすることで、食感がプラスされておいしく召し上がることができます。野菜を入れることで、ビタミンやミネラル、食物繊維の補給にもなります。
麺類と塩分についてご紹介しました。麺単体の塩分量、そばが一番少ないことはなかなか知られていないのでしょうか?減塩を継続するには、日々の食事の楽しみを忘れないことです。ぜひ、ご参考にしてください。