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減塩コラム:自己紹介 | 赤羽もり内科・腎臓内科 森 維久郎先生
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減塩コラム

各先生に減塩に関するコラムを
執筆していただいています

自己紹介

初めまして、赤羽もり内科・腎臓内科というクリニックの院長の森 維久郎(もり いくろう)です。

日頃より高血圧などの生活習慣病や、腎臓病の患者さんを診察しており、日々塩分を減らすことと戦っています。

日本人の健康と塩分

(Lancet. 2011 Sep 17;378(9796):1094-105. より引用、一部改変)

上の図は、日本人が亡くなる原因を調査した結果です。1位がタバコ、2位が高血圧、3位が運動不足、4位が高血糖、そして第5位が塩分の高摂取です。

ある種見栄えのしない当たり前の内容ですが、この当たり前のことに注意することで日本人がより健康に長生きできるようになります。

ついつい私達は(←私もです)、高度な医療に過度な期待をしますが、投げるべきボールを持っているのは高度な医療ではなく、私達自身が持っているのです。

日本人の健康と塩分

では、実際日本人はどのくらい塩分をとっているのでしょうか?

2018年の厚生労働省の「国民健康・栄養調査」の報告によると、日本人が1日にとる塩分の量は、男性で11g、女性で9.3gです。

結論から申し上げると、この量はかなり多いです。世界保健機関(WHO)は、1日にとる塩分の量を5gにすることを目標にしています。

一方で朗報もあります。それは、日本人が1日にとる塩分の量が少しずつ減っていることです。

(厚生労働省「2018年国民健康・栄養調査」より引用、一部改変)

分かっているのにできないのが減塩

今まで、塩分を減らすことの大切さをお伝えしました。ただ、問題は「塩分を減らした方がよい」ということは多くの方が知っているにも関わらず、なかなか実行にうつすことができないということです。

医療現場でも医師が患者さんに「塩分を減らしましょう」と伝えても、中々減らすことができません。

例えば、私が専門にしている腎臓医療の世界では、塩分をへらすことが治療の主体になり、1日の塩分の量を6g以下にする必要があります。

にも関わらず、2010年に日本で行われたNIPPON DATAという調査の報告では、1日6gの目標を達成できている人は、たった12.8%しかいませんでした。

塩分をへらすことは、患者さん気合や強い意思に依存するだけでなく、減塩のテクニックや、社会的アプローチが必要と筆者は考えております。

減塩のテクニックとしては、スパイスを使う、酢やダシを使うという料理のテクニックや、尿検査で1日にとっている塩分の量を調べてフィードバックするなどのヘルスケアのアプローチがあります。今後一つ一つ、この「らくだ6.0」で掘り下げて記事にしていこうと思います。

社会的アプローチとしては、イギリスの取り組みが有名です。イギリスでは国をあげて食品メーカーに塩分を減らすように要請しました。当然、味が落ちて売り上げが下がることを懸念した食品メーカーは大反対をしました。

そこで、塩分を「少しずつ減らすこと」にしました。実は、味覚は少しずつの変化には意外と鈍感で、年単位での減塩による味の変化には気づかなかったようです。結果、7年間で約2割の塩分を減らし、心臓・脳の病気の人を約4割減らすことに成功しました。この取り組みについても「らくだ6.0」で掘り下げていきたいと思います。

減塩に対する想い

私が開業医になった理由は、ここ20年の日本の医療にとって大切なものは、「医療を高度にすること」ではなく「当たり前の医学的な知識を人々の行動に落とし込むこと」だと思ったからです。

減塩についてもおなじことが言えると思います。

私自身も、地域医療というフィールドで少しずつ、様々な取り組みをしていきたいと考えております。 この「らくだ6.0」も私にとって大切な取り組みの一つです。今後とも宜しくお願いします。