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減塩コラム:自己紹介 | 千葉東病院 腎臓内科 川口 武彦先生
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減塩コラム

各先生に減塩に関するコラムを
執筆していただいています

自己紹介


みなさん、はじめまして。私は現在、腎臓内科の医師として日々診療にあたっています。


20年前に研修医としてトレーニングを開始した頃は、主に急性期の入院患者さんの診療が中心でしたので、治療に関しては薬のことで頭がいっぱいでした。


しかし慢性期の外来患者さんも多く診るようになり、また予防医療にも携わるようになった今、薬と同様に、いや場合によっては薬以上に、治療・予防としての食事の重要性を痛感するようになりました。


1日3食として1年で約1000食、10年で10000食以上を摂るわけですから(ちなみに3食以外に1日1回でも間食を摂れば1年で約1500食、10年で15000食ほどにもなります!)、その数だけ見ても食事のもつインパクトを十分に理解できるかと思います。


1つの例として、高血圧は心臓病、脳血管病、腎臓病といった多くの臓器障害を引き起こすことが知られていますが、塩分摂取量が多い方が食事の塩分を適切に控えることによって高血圧が改善するのは日常診療では決して珍しいことではありません。




  今、時代はいろいろな意味で大きく変化しています。高齢社会を迎えた現代において、医学の面からは、もはや「長生きすること」が目標ではありません。


「元気に長生きすること」が目標です。「元気」の定義は、もちろん人それぞれ異なりますが、その人のライフスタイルに応じた「元気」な状態で長生きした方が、そうでないよりも、暮らしが豊かになることは間違いありません。


その意味で毎日の「元気」や「健康」を支えている食事の重要性は一層増していると言えます。


幸いなことに日本は食文化が豊かな国であり、地域や季節による多様な食材にも恵まれています。


人生の楽しみの一つである食事を美味しくする一方で、自分のライフスタイルに合わせた健康的な食事を見直していくことも大切ではないでしょうか。




  このような背景の下、高血圧や腎臓病の患者さんを多く診ている臨床医の立場から、私は食事指導の中でも特に減塩が重要と考え、減塩指導の一環として減塩食イベントを10年前に開始しました。


病院では医師の診療に加え、管理栄養士による栄養指導が行われており、一定の効果を上げていますが、患者さんの中にはフードモデルを使用した栄養指導の説明だけではなかなか行動変容につながらない方もいらっしゃいます。


そこで減塩イベントでは、患者さんに実際に減塩の食事とそうでない食事を食べ比べてもらい、実際に減塩食を体感してもらうことで指導効果を高める試みを始めました。


減塩というと「美味しくない料理」というイメージがつきまといますが、素材の使い方や調理の仕方によって美味しく食べることができます。


現在では管理栄養士による積極的なサポートにより、減塩食を食べてもらう「減塩料理試食会」から、実際に調理の方法も併せて学べる「減塩料理教室」としてイベントは発展しました。


塩分摂取量が多くなりがちなカレーライスやラーメン、牛丼、ピザを減塩料理で美味しく食べて頂くだけでなく、自宅での減塩調理に役立てて頂きたいと願い、現在も活動を続けています。


今回は縁あって「らくだ6.0プロジェクト」のメンバーの1人として参加させて頂くこととなりました。


上記のような減塩イベントに参加して頂ける患者さんは、残念ながら決して多くはありません。


本コラムを通じて、患者さんや減塩指導に携わるスタッフの皆さんと、減塩に関する有用な情報を共有し、「元気で長生き」できるための食生活を一緒に実践していきましょう。